マウスの運動学習時の脳活動と 行動を同時記録した大規模データセットを公開 ~行動変容生物学を加速する国際標準形式のオープンデータ~

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本研究成果のポイント

◆ マウスがレバー引き課題を学習する15日間の脳活動と詳細な行動を同時記録した大規模データセットを構築
◆ 国際標準規格(Neurodata Without Borders形式)でデータを整備し、世界中の研究者が利用可能なオープンデータとして公開
◆ すでにハッカソンを開催して新たな研究展開を促進。今後も継続的な取り組みで行動変容生物学分野の発展を推進

概要

 福井大学学術研究院工学系部門の中江健准教授、東京大学大学院医学系研究科の近藤将史助教、松崎政紀教授らを含む複数機関からなる研究グループは、マウスの運動学習過程における脳活動と行動の変化を包括的に記録した大規模データセットを構築し、国際標準形式で公開しました。本データセットは、マウスが水報酬を得るためにレバーを引く課題を15日間学習する過程で、大脳皮質全体のカルシウム活動と、3台の高速カメラによる身体?顔面?眼球運動を同時記録したものです。さらに、課題遂行中の環境パラメータ(温度、湿度、CO2濃度等)も記録しています。データは国際標準規格であるNeurodata Without Borders(NWB)形式で整備され、約8テラバイトの生データと解析済みデータがオープンアクセス可能です。これにより、世界中の研究者が共通のツールを用いてデータを解析できるようになり、行動と脳活動の関係解明から行動変容生物学を推進し、AIを用いた脳機能研究の発展が期待されます。

論文名

Multimodal dataset linking wide-field calcium imaging to behavior changes in operant lever-pull task in mice
日本語タイトル:「マウスのオペラント?レバー引き課題における広視野カルシウムイメージングと行動変化を結びつけるマルチモーダルデータセット」

著者

Masashi Kondo, Keisuke Sehara, Rie Harukuni, Ryo Aoki, Shoya Sugimoto, Yasuhiro R. Tanaka, Masanori Matsuzaki, Ken Nakae

近藤 将史(東京大学 大学院医学系研究科 助教)
瀬原 慧祐(東京大学 大学院医学系研究科 特任助教)
春國 梨恵(東京大学 大学院医学系研究科 学術専門職員)
青木 亮(玉川大学 脳科学研究所 特任助教)
杉本 翔哉(玉川大学 脳科学研究所 嘱託研究員)
田中 康裕(玉川大学 脳科学研究所 教授/ 大学院脳科学研究科 教授)
松崎 政紀(東京大学 大学院医学系研究科 生理学講座 教授/ 理化学研究所 脳神経科学研究センター チームリーダー/ 東京大学 大学院理学系研究科 教授/ 国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構 教授)
中江 健(福井大学 学術研究院工学系部門 准教授)

掲載誌

「Scientific Data」(サイエンティフィック?データ)

DOI

10.1038/s41597-025-05482-y

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│ 2025年7月29日 │
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